経済産業省経理・財務人材育成事業として2005年から25,000人を超える方に受験いただいている「FASS検定」を、海外拠点を含むグループ全社員の実務スキルを測る統一のモノサシへと改良すべく、日本CFO協会は現地語で受験可能な「世界統一FASS検定」の開発を進め、海外での試験の有効性・信頼性を確認するための実証テストを実施しました。
実証テストには日本の優良大企業約50社が参加し、昨年12月から今年2月にかけて中国・韓国・フィリピン・ベトナム・インドネシアの5ヵ国にある日本企業の在外子会社約266社から1,386人に及ぶ現地スタッフに受験いただきました。現地での普及を目的に日本商工会議所と日本貿易振興機構(ジェトロ)にもご協力をいただき、特に中国については、中国市場を強みとする会計コンサルティング会社のマイツ・グループ(代表:池田博義)と業務提携を行い、日本CFO協会の「中国・アジア室」をマイツ東京事務所内に設置したほか、マイツ上海事務所(上海市徐匯区)内にも「中国支部」を設置するなど体制を強化しました。
実証テストに先立ち、現在日本CFO協会専務理事の谷口宏が会長を務める国際財務幹部協会連盟(I A FEI、本部・スイス)に加盟しているアジアのCFO協会5ヵ国の協力を取り付け、既存のFASS検定問題の分析や現地語化の協力をいただきました。税制や決済制度など各国の規制・ビジネス環境に合致するよう一部の問題を修正し、さらに現地語に翻訳することによって言語能力に左右されない純粋な経理・財務スキルを測定できるようカスタマイズを行いました。70~75%の試験問題はアジア6ヵ国共通で使用可能であることもわかり、本実証テストに高い関心を示したアジア5ヵ国のCFO協会も参加する共同プロジェクトとしてスタートすることができました。
今回の対象国はアジア5ヵ国ですが、すでに米国の有力なCFO協会にあたるFEI(Financial Executive International)がプロジェクトへの参加を表明しており、対象国が拡大することで文字通り「世界統一FASS検定」となる見通しが立ってきました。今後、検定試験だけでなく、各国共通の標準実務をベースとした教科書の発行、研修講座の開催など、会員企業へのサービスを各国CFO協会との協力のもとに充実させていく予定です。