FASS 経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイトトップ > FASS検定 > 導入事例 > 凸版印刷

FASS検定|導入事例

凸版印刷株式会社

1: FASSを導入した背景と経緯は?

1: J-SOX法の対応として、中核となる経理スタッフの能力識別が課題に

FASSの導入を検討し始めたのは2007年頃。翌年のJ-SOX法施行を前に、社内はその対応準備に追われていました。ちょうどその頃、内部統制に関するガイドラインが金融庁から提示され、そこに「信頼性のある財務報告を作成するために必要な能力を識別し、所要の能力を有する人材を確保、配置しているか」という項目がありその対応に苦慮していました。
当社は事業部制を敷いており、事業部ごとに経理部を置いています。金融庁のガイドラインに沿って適切な人員配置を行うためには、中核となる経理人材の経理財務能力を客観的に識別する必要がありました。

そのような観点から、核となる社員の能力、知識を識別するための方法をリサーチするなか、これぞ最適なツールだと判断し、FASSの導入を決定しました。

2: FASSの導入対象(受験対象)とその狙いや教育体系の位置づけは?

2: 各事業部の「監督職層」が受験対象。教育体系との連動がより緻密に

FASSの受験対象者は、基本、入社10年~17年目で昇進する「監督職層」が中心です。もちろん、そのほかの年次、管理職でも手を挙げれば受験可能としています。 経理人材の教育自体については、若年層、係長、課長、部長といった階層別研修を実施し、専門知識の取得のみならず、実務的な課題解決能力のスキルアップに努めてきました。また、固定資産、管理資産、給与といった担当別の研修も定期的に行っています。

FASSの導入後は、この担当別研修がより明確な意味合いで実施できるようになりました。FASSの問題には資産・決算・税務・資金という4分野があります。受験者個々人の苦手分野を洗い出すことで、各パートに特化した講師を招聘し、より緻密な教育を行えるようになったのです。

3: 対象ごとに要求するFASSのレベルは?(昇格条件など処遇とのリンクもあれば)

3: フィードバックを人事ローテーションの材料に活用できている

現状の成績分布を見ると一定数がAランクを獲得できています。D、Eランクの社員にはより上のランクを目指し、最低でもCランクの取得を啓発しています。ちなみに、2007年のFASS導入から、基本的には年1回の頻度で受験を継続しており、グループ会社の受験も含め過去7回を実施しています。

 試験の結果は本人および事業部の責任者にフィードバックしますが、具体的な人事評価にひもづけることはありません。受験者が萎縮してしまうと、経理・財務能力の識別という本来の目的が達成できませんから。ただ、会計制度が複雑化していくなか、特に開示業務や監査対応にかかわる部署には、ある程度知識を持っている社員を配置したい。人事ローテーションの活性化が課題だったため、その判断材料としてFASSの結果を活用し始めています。

4: 今後の教育上の課題は?

4: 事業部が自主的に勉強会を開催するなど、予想外の効果も

事業部責任者へのスコアのフィードバックによって、予想外の効果も生まれています。FASSのスコアアップを目指し、独自に勉強会を行う事業部が出てくるなど、競争意識向上、モチベーションアップにつながっているのです。
弊社には、東京に本社と3つの事業本部、さらに大阪、名古屋、北海道、仙台、広島、九州といった各エリア拠点に経理スタッフがいます。全国から彼らを招集して行う研修は、コミュニケーションのいい機会ですから継続していきますが、やはり多大なコストがかかるため回数に限りがある。そういった意味で、各事業部が進んでスキルアップを目指してくれるようになったことも、非常に大きな導入効果だと思っています。

また、全社員を対照とした教育支援制度には、FASS検定のためのスクール、通信教育などがあり、利用料金を会社が半額負担するといった支援も行っています。今後もより多くの経理スタッフにFASSを受験してもらい、会社としての強い経理・財務の体制づくりに役立てていきたいですね。

« 導入事例一覧に戻る

ページの先頭へ