企業が行う活動は経済活動ですから、その活動のためにはもちろん「経済社会」という基盤の存在が必要不可欠です。しかし、財務面から考えれば、市場以外の経済社会は外部経済と捉えられ、人間で言えば空気と同じように、企業経営上は考慮されないことが多々ありました。この認識を変えたのは、1960~70年代に深刻化した公害問題や1990年代にクローズアップされた地球環境問題、さらには児童労働の問題や企業の不祥事といった外部不経済が、企業の経営財務に大きな影響を及ぼしてしまうケースがあることが、具体的事例として広く理解されたからです。
特に、3.11の震災の際には、地域社会が根こそぎ失われてしまえばそこに産業は成立し得ないということが、厳然たる事実として私たちに突きつけられ、今、東北の各地では、地域社会の再生と一体となった産業の再生が進められています。企業人として、あるいは企業経営者として、事業活動を行う上での社会との関係は、最も基本的かつ必要不可欠なものとして認識しなければいけません。
ここでは、社会(あるいはステークホルダー)との関係における1つのグローバル・スタンダードとして「国連グローバル・コンパクト」という原則を紹介するとともに、企業の社会貢献活動に関連する情報や、現在のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に関する動きなどを見ていきたいと思います。
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